活動状況

警備人材育成センター令和7年度第1回講師研修会を開催

警備人材育成センターは、令和7年度第1回講師研修会をポリテクセンター関東(神奈川県旭区南希望ヶ丘)において、9月13日(土)から15日(月)までの3日間実施した。

 当該研修会には総括責任者のほか、関東・中部・近畿・九州から主任講師、コーチャー、現任講師(1・2級)22名が参加した。この講師研修会は、種別ごとに実施されている。今年度は、交通誘導警備業務と雑踏警備業務が計画されている。

野村晶三事務局長

 講習会初日は、8時30分には総括責任者、主任講師コーチャー及び事務局員が参加の上、事前の打ち合わせが行われ、野村事務局長から研修会実施上の諸注意と指示が行われた。

 8時50分から、開講式が行われ、野村事務局長が挨拶の中で、「一人ひとりが講師としての自覚をしっかり持って、講義や実技能力の向上が図れるよう取り組んでほしい旨」挨拶があり、研修会がスタートした。

 続いて総括責任者3名から①講師としての心構え、②現場での対応、③総括責任者の視点、④その他、についての意見等が伝えられた。

 はじめに大戸茂利総括責任者から、「学科講義力の向上には、他の講師の講義を聴講してよいものは吸収し、話し方についても工夫を図ること、また実技が全く解らないような受講者には、特段に配慮をして手厚く指導することや多種目との合同開催の際には、相互によく連携して実施に当たる」こと、などについて現場の経験から実務的な指示があった。

 続いて、藤波和夫総括責任者は、「講師としての努力をこれまで以上に重ねて、講師の均一化を図ることや、受講者のやる気を向上させる工夫などにも注力してもらいたい」と、要請があった。

 最後に中山清総括責任者からは、「受講者に対しては、常に模範となる行動をとること、合格に向けて如何にやる気を出させるか、そして能力のレベルを上げるためには、厳しく実施して採点は甘くすることがないように」と、要請があるとともに、埼玉県警察本部において警備業を担当した当時の警備業法の改正に伴う警備員等の検定等の位置付けや「合格証明書が交付されない者」についての実例の紹介、実技試験員の重要性」など説得力のある講師としての意義を述べられた。

大戸茂利総括責任者
藤波和夫総括責任者
中山清総括責任者

次に、野村事務局長の講話があった。その内容は、次のとおり。

① 令和6年度の講習会の実施状況

② 令和7年度の講習会事業計画

③ 講習会のデジタル化の推進

④ その他(安全衛生に配慮した講習会の開催と講習会で使用する資機材の改善)

 ①の「令和6年度講習会の実施状況」では、95回開催(前年89回)、受講者数は3,435人(前年2,944人)、合格率は85.1(80%)パーセントであった。

 ③の「令和7年度の事業計画」では、デジタル対応のホームぺージを9月18日から開設し、講習会の申込をデジタル化することのほか、施設警備業務2級の事前講習をe‐ラーニングで開始することで、受講される方の利便性を高める。なお、来年度には、他の種別の2級全ての事前講習をe‐ラーニングでも受講できるようにするとともに、実技種目については、教本にQRコードによって動作や要所(ポイント)が動画で見られるよう作業を進めている。

 ④の「安全衛生に配慮した講習会の開催」については、熱中症対策の一環として、例年交通誘導警備業務及び雑踏警備業務の受講者に対し、クールネックリング等を無料配布してきたが、今後は全ての講習種別で配布するほか、イベント保険加入によって、講習中の受講者の傷病に対する保険適応を可能とした。また、講習関係者のワーキングウェアに空調服を加え、熱中症対策に備えた。

 講習資機材に関しては、より効果的に活用できる資機材の開発に努め、受講環境の整備をすることを述べられた。

○ 1級模擬講義の実施

 その後、昼食と休憩を挟みながら、1級現任講師による模擬講義が行われ、はじめて聴講することとなった1級講師候補者は皆、真剣に取り組んでいる様子で自身が講義を行う際に必要な要点などを漏らさず記録することによって、研修会終了後、それぞれが作成する「講義ノート」に確実に反映されるものと思料する。

 模擬講義は、2時限目の第2章(必要法令;担当當房広無主任講師)のほか1級現任講師5名で実施した。模擬講義終了後、野村事務局長から講評があり、初日の課程が全て終了した。

當房広無主任講師
富澤和宏コーチャー

○ 1級実技訓練の実施

 2日目の1時限目は、1級の実技科目である「交互通行による交通誘導要領」の訓練が行われた。車両4台を使用し、それぞれ4班に別れて資機材設置。コースの設営要領並びに各コースでの1級検定合格警備員としての指揮・運用要領の統一化を図ることに重点を置いた訓練が実施されていた。

 2時限目は「業務管理」の訓練が行われた。この業務管理は、打ち合わせ事項(発注者と打ち合わせをして決定した内容(想定))に基づき「警備計画書」を作成又は完成している警備計画書に基づき現場における警備員の警備指針となる「警備指令書」を作成する場合の選択科目となっている。 どちらを選択されても適正に試験ができるよう訓練することが研修目的である。 担当講師の指導の下、現任者、候補者共にしっかりと習得するべく取り組んでいた。

 1級の訓練・試験科目は上記のほか、①車両等の誘導(業務用資機材の配置要領)、②拡声器による交通及び避難誘導要領、③警察機関等への追加連絡要領、④徒手による護身術(応用)及び警戒棒の応用操作要領(選択科目)の6科目がある。その中で資機材の配置と業務管理、追加連絡は座学による実技訓練及び試験が行われることとなる。

交互通行による交通誘導要領
警察官等への追加連絡要領

○ 2級模擬講義の実施

 2日目の午後からは、2級学科の出題傾向の他、講義のポイントについて、7名の現任講師がそれぞれ模擬講義を実施した後、講評を指導担当講師が行うという、実践的な研修方法で進められた。 交通誘導警備業務2級講習会は最も多く開催される講習会であり、各講師ともに平素から実施慣れした講習内容ではあるが、講師を受講者として見立てた講義では、特段の緊張感があり、日頃の実力が十分に発揮できない者も多々見られた。

 講義のポイントは、出題傾向を如何に分かりやすく解説し、理解させることができるのかが第1の目的である。しかし、第4章の実技の科目が活字で出題されたとき、記憶だけでは答えが出ず、誤答率が高くなる。特に、第4章の負傷者の救護や護身術の学科回答率が悪い。そういった所の講義方法にも注目された。 全ての模擬講義が終了した後、田中主任講師(九州)から2日目全般の講評があり、「概ね良好であったが、講義にもっとメリハリを付けて、受講者が飽きることがないよう工夫をして欲しい」との指導を受けて、2日目は終了した。

山下篤講師(近畿地区)
高嶋啓介講師(中部地区)

○ 2級実技訓練と採点錬成の実施

 最終日は、実技コースの適正な設置、模範演技者を対象とした、採点の練成を行った上、改めて模範演技におけるポイントを習得する訓練を実施した。採点の練成では、採点項目において何処をどのような理由で減点したのか、各講師に発言させて減点する箇所の目を合わせ統一することによって採点基準の確認を図った。 2時限目では、「後進誘導要領」について「二次災害防止要領」と同じ手順で実車を用い実施した。

 本訓練にあっては、野村事務局長より厳しく指導があった。後進誘導要領では、素手による後進誘導を行うが、「この現場設定はどういう道路を想定しているのか」、 さらに、「このトラロープは路側帯なのか路肩を示しているのか、何を意味しているのか」との質問には、「路側帯」と、言う者や「路肩」と、言う者があった。また、この場合の道路の設定は「一般公道」と言う者もあれば、「高速道路」と言う者もあったし、素手による誘導のとき、「右手は肩の延長線上に伸ばし、手のひらは体と同様に前方へ向けているが、手旗の誘導では、右手赤旗は前方に突き出している。その違いは何を意味しているのか」といった質問が講師に投げかけられた。このように、2級の実技訓練に関しては、根本的なところから指導を受けていた。                         

 最後に、徒手の護身術について基本・応用を含め、模範演技の展示の仕方、訓練時の習得させるための要領(ポイント)についても野村晶三事務局長から丁寧に指導されていた。

○ 学科の効果テストの実施

 全ての実技訓練を終え、全員に対してそれぞれの講師指定に向けた学科試験が行われた。

 1級は40問、2級は60問が出題された。

 学科試験終了後、野村晶三事務局長から講評があり、「本研修会で習得した知識及び技能並びに識見を講習で実践するとともに、更なる自己研鑽に努め、たとえ受講者が合格できなかったとしても、受講してよかったと思われるような講習内容とすべきであり、そのためには学科の教授力、実技の指導力向上に努めるよう訓示され、3日間の研修会は終了した。

 研修会は、3日間という限られた研修期間ではあったが、連日猛暑の中、参加者は、1人も熱中症になることなく、全ての課程を修了し、本研修会を終了した。